生活保護受給中の債務整理|専門家が自己破産を勧める3つの理由
2017年08月25日

はじめに
借金が原因で生活保護を受給することになった場合、返済義務はどうなるのでしょうか?
生活保護受給中の場合、そもそも新たな借金をすることは難しいですが、保護受給前に借金をしていた場合には自己破産を行うことが出来ます。
生活保護費は借金の返済に充てることが出来ない
生活保護費は、日常生活に必要な費用を扶助するものとなっていますので、保護費からの借金返済は原則として認められていません。そのため、生活保護受給者が借金を抱えている場合には自己破産が勧められます。
目次
生活保護の目的と生活保護費の使途
生活保護は、何らかの理由で日常の生活費用が捻出できず、生活そのものが難しい人に対して、国が保護費を支給して最低限の生活を保障する制度です。そのため、支給内容は、日常生活費用や家賃に対する実費など、目的が細かく決められています。生活保護を受けていると、たとえば、車を持てないといった制約があるのもそのためです。
したがって、目的以外の保護費の使用、つまり借金返済に保護費を使用した場合、保護を打ち切られる可能性もあります。厚生労働省も、保護費からの住宅ローンの返済は認めていません。生活保護者の場合の債務整理には、自己破産が勧められるのはこのためです。
自己破産とその他の債務整理方法の違い
債務整理の方法には自己破産のほかにも、簡易調停や任意整理、個人再生などの方法があります。しかし、自己破産以外の債務整理方法は、債務を返済することが前提であり、支払い能力を有していることが必要です。したがって、生活保護受給者の場合は対象となりません。例外として返済原資を親族などから援助可能な場合や、そもそもの債務が少ない場合では可能な場合もあります。しかし、親族から援助が受けられることを理由に生活保護が中止されるリスクが生じるため、専門家でも避けるケースが多いです。
これに対し、自己破産の場合は、債務そのものの返済を免除されます。そのため、先の返済能力が問われることはなく、生活保護者でも問題なく破産手続きが行えます。また、生活保護者の場合は次に述べる破産費用の支払い猶予が受けられるなど、手続きのメリットも大きいです。
自己破産費用は法テラスが立て替えてくれる?
生活保護受給者の場合、高額な弁護士費用が払えないという理由で、自己破産をとどまっているケースもあります。しかし、生活保護者の場合は、法テラスが費用の立て替えを行ってくれますのでその心配はありません。法テラスを利用すると、専門家への報酬が低額で済むだけではありません。生活保護受給中は、弁護士費用以外にも裁判所に払う費用についても立て替えの対象のため、ほとんど費用をかけずに自己破産の手続きが出来ます。また、自己破産の手続きが終了した場合にも保護を引き続き受けている場合には、支払いが免除されることもあります。
法テラスは、収入が一定額以下などの条件を満たすと利用可能です。利用には、法テラスに直接相談する方法と、法テラスに登録している専門家に直接相談して、法テラスの民事法律扶助制度の申込を行ってもらう方法とがあります。まずは、いずれかの窓口に相談してみることが大切です。
生活保護から脱出した後の費用の支払いについて
自己破産手続き中に収入が確保できるようになり、生活保護から脱出した後には、立て替え済みの自己破産費用を法テラスに返済しなければなりません。しかし、返済額は月々5,000円程度からと低額のため、無理なく支払うことが出来るでしょう。また、支払いが困難な状況であれば、相談も受け付けています。
まとめ
生活保護受給中の場合の債務整理に自己破産が勧められるのは、リスクや費用負担が少ないからです。保護受給中の場合、自己負担なしに手続きを終了できる場合もあります。支払いが難しい借金を抱えていても、利息が増えるだけでメリットは全くありません。自治体によっては、生活保護受給前に自己破産を勧められる場合もあるほどです。
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